先生インタビュー

宮城県仙台市立東六郷小学校(左から)鈴木校長先生、蓮沼教頭先生

宮城県仙台市立東六郷小学校(左から)鈴木校長先生、蓮沼教頭先生

ーー 校舎とのお別れ集会を行うことになったきっかけについてお聞かせください。

鈴木校長先生:今年度開校60年の節目の年を迎え、記念事業として何かできないかと思案していた時に、仙台市教育委員会からプロジェクトについて紹介していただき、実行委員会で検討して実施することにしました。


蓮沼教頭先生:事業担当の保護者と「校舎の思い出プロジェクト」ホームページの実施校写真等を見ながら検討しました。記念事業として思い出に残り、たくさんの地域の方々が参加できる事業と判断して実施を決定しました。

ーー 「校舎の思い出プロジェクト」でのサポートプログラムはいかがでしたでしょうか?

鈴木校長先生:キヤノンマーケティングジャパンとぺんてるから、具体的な説明と成果物を見せていただいたことで、イメージがつかめました。また、いろいろと細やかに相談に乗っていただいたことで、スムーズに実施にこぎつけることができました。


蓮沼教頭先生:PTA会員家庭が7件と少なく実施の準備は不安でしたが、本校の状況をご理解の上、ペイントの計画立案や実施の際にもご助言いただけたのでありがたかったです。画材の種類や数量の見通しを立てるのに他校実績からのアドバイスに加え、実施途中での補充や、参加者のペイントの状況を踏まえて活動に適した筆の相談にも丁寧にご対応いただきました。カメラでの記録については、子供たちを対象とした事前の講習があっただけでなく、活動の度にご担当の方に足を運んでいただきフォローをしていただきました。児童も少人数のため、ペイントに夢中になると写真記録が疎かになりがちでしたが、お声がけをしていただいたり、記録映像の撮影も助けていただいたりしました。

ーー 特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

鈴木校長先生: 子供たちや保護者、卒業生、地域の方だけでなく、学校に関わってくださっている様々なボランティアの方なども、これまで学校に関わって感じたことを、イラストやメッセージで描いてくださり、プロジェクトを通して気持ちが一つになったと感じています。


蓮沼教頭先生: 6回の活動の中で、津波被災により地域から離れて生活している方同士が久しぶりに再会し、ペイントに参加しながら「楽しい時間を過ごせた」とお話しされていました。また、描かれたペイントを見て、小学校時代の思い出を振り返り、学校への今の思いを黙々と表現する卒業生の姿が印象に残っています。少しずつペイントが増えていくこと自体が感動的でした。また、ペイントに初めて参加する方の驚きの様子が嬉しく、実施して良かったと思っています。

ーー 壁画のテーマはどのようにして決められたのですか?

鈴木校長先生:子供たちに「校舎の思い出プロジェクト」のねらいを説明して、ワークショップを開き、どんなことを描きたいか話し合い、決定しました。学校のシンボル、行事、描きたいことなどを挙げてもらい、絞り込んでいきました。


蓮沼教頭先生:子供たちからは、「学校の統廃合」や「校舎解体」、また「開校60年目」という状況を受けて「ありがとう」、「感謝」、「友情」、「絆」、「おめでとう」というキーワードが挙げられ、これをもとにしてテーマ案を話し合いました。最終的に「覚えやすく」「参加した人にもすぐに伝わる」ということで「感謝☆絆」に決定しました。
キーワード以外に、意見を出し合う段階で学校での活動(和太鼓演奏、運動会、学芸会、収穫祭、栽培活動など)や学校のシンボル的なもの(桜、太鼓、グリーンカーテン、黒潮など)の名称も挙がりましたが、それらについてはペイントする題材で活かすという意見が出され、活動に反映されました。

ーー 学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子供たちが描いていくときはどのような反応でしたか?

鈴木校長先生:予め教頭先生が学校のイメージキャラクターを描いていたことや、事前のワークショップで思い出に残るものを描くことを指導していたので、子供たちは臆することなくのびのびと描いており、その姿を見て嬉しく感じました。


蓮沼教頭先生:描き始めは固い雰囲気でしたが、活動が進むにつれて、筆も走っていきました。先生方もタイミング良く、子供たちの思いを引き出したり、描きたい題材のイメージを広げたりする働きかけを行ってくれました。子供たちは、ずこうクレヨンやペイントマーカー、スクールガッシュの書き味を試しながら自由に描いていました。筆だけでなく手のひらや指先も使って独特のタッチを楽しんだり、ガラス面を塗りつぶし、乾いたスクールガッシュを削って透かしで花火を表現したりと、子供の表現力の豊かさを感じました。

ーー 子供たちが撮影した写真をご覧になって、いかがでしたか?

鈴木校長先生:事前にキヤノマーケティングジャパンのご指導で、カメラでの撮影の仕方を学習していたので、ペイントの様子の写真はベストショットだと思いました。


蓮沼教頭先生:写真を撮ることを楽しんでいたと思います。数枚撮影するうちに自分なりにコツをつかみ、思いのままに撮影していました。いい表情を捉えている写真もあって、おもしろいと思いました。

ーー 児童や保護者の皆さん、地域住民の方の反応はいかがでしたか?

鈴木校長先生:子供たちのイラストやメッセージを見て、いきいきとしたデザインに喜んでいました。また、一人一人の熱い思いをメッセージやイラストに描いてくださっていました。


蓮沼教頭先生:描かれていくメッセージやペイントを見ながら、思い出を振り返っている様子でした。笑顔や語らいの様子があちこちで見られました。震災によって、以前のような地域の皆さんが集う機会が少なくなってしまいましたが、今回の取り組みが以前のような人を繋ぐ良い機会になったと思います。参加された皆さんには、それぞれが学校への思いを確認する機会になったと思います。

ーー 今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

鈴木校長先生:学校に対する思いは、特別な思いがあると思います。一人一人が過ごした時間は、時の経過と共に色鮮やかに、様々なこととなって甦ってきます。その時の瞬間を思いに込めて、イラストやメッセージとして表現して、校舎に記録することで、いつまでも記憶に残っていくと思います。


蓮沼教頭先生:子供たち、保護者、地域の方々、教職員と、たくさんの参加者がそれぞれの「学校への思い」を確かめ、他の人のメッセージやペイントからその思いをより深めます。メッセージやペイントで表現する活動は、参加者の心にある「学校への思い」を掘り起こし、意味付けしていく場づくりになっていました。貴重な機会をありががとうございました。

 

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