先生インタビュー

池袋第三小学校の高木先生(左)と和田校長先生(右)

ーー 校舎とのお別れ集会を行うことになったきっかけについて教えて下さい。

和田校長先生:2013年4月、池袋第三小学校校長として着任し、翌々年に改築を行うということを初めて知りました。着任して思ったことは、「地域の皆さんが池三小を愛してくれている・大切にしてくれている」「子供たちも池三小にとても愛着をもっている」ということです。そんな風に愛されてきた池三小だから、皆さん(在校生、卒業生、地域の方々)池三小がなくなることをとても寂しがっていました。私にとってはまだ1年余りしか経っていない池三小ですが、子供たちや地域の方々からすると、生まれてからずっと慣れ親しんできた、大切な思い出が詰まった校舎なのだと実感しました。

そこで、その校舎とお別れをするのに、なにか心に残るような、より一層池三小を大切に思えるような、そのような取り組みはできないかといつも考えていました。そんな時に、ぺんてる株式会社の方から日本橋小学校が以前、校舎を建て替える時に、ぺんてる株式会社が画材を提供して、子供たちが外壁に絵を描き、その絵が今でもランチルームに飾られているというお話を伺い、これは私どもの池袋第三小学校でも出来ないかと考えました。

校舎に絵を描くことの他にも、子供たちから「校舎を思いっきり走りたい」という意見があったので、“逃走中”というゲームを行い、「校舎のお気に入りの場所を一人一枚写真に撮って、それをみんなで紹介し合って、この校舎との思い出を振り返りたい」という意見があったので、こちらの取り組みもキヤノンマーケティングジャパン株式会社に協力してもらい、あわせて児童集会として行うこととなりました。

ーー 子供たちが絵を描いていく過程で何か印象に残っているエピソードはありますか?

髙木先生:普段は絵が苦手で図工の時間もあまり積極的でない子が、壁画を描いている時に「図工ってこんなに楽しいんだ!」と言っていたことがとても嬉しかったです。それがきっかけかはわかりませんが、その児童は、以前より図工の時間に積極的に活動しています。

また、子供たちが出来上がった壁画を作品として、とても大事にしていることが印象的でした。後日、子供たちに感想を聞くと、「最初は楽しそうだなと思っていたけど、やってみると、自分より遥かに大きいキャンパスなので大変だった。だけど完成した時は達成感があった。」「ケンカもしたけど、とてもいい絵が完成して良かった。」「このような機会があればまたやりたいし、他の人にも体験してもらいたい。」とのことでした。それほど心に残るイベントだったのだと思います。

ーー 学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子供たちが描いていくときはどのような反応でしたか?

髙木先生:勢いよくバーッと描きだす子と、恐る恐る少しずつ描き始める子に大きく分かれました。ですが、少しずつ描いていた子たちも勢いよく描いている子たちを見て、自分もやってみようかな…となり、最後はどの子も大きく体全体を動かしてのびのびと大胆に描いていました。

子供たちみんなにとって“はじめての体験”となり、(このイベントを)やって良かったと思います。

ーー 今回、校舎のお気に入りの場所フォトコンテストも開催されましたが、その時のエピソードはありますか?

 

和田校長先生:あるクラスで児童それぞれが写真を紹介した後に代表1点を決める時、全員が自分の写真に手を挙げた、ということがありました。校舎に対して一人一人強い思い入れがあり、1点に決めるのは難しかったようです。本当にどれも子供たちの校舎への思いが詰まった素敵な写真でした。子供一人一人にカメラを持たせて頂き、撮影することができたので、子供たちの斬新なアングルで、その子の目線に立って私たちも校舎を見ることができました。

ーー 保護者の皆さんや地域の方々の反応はいかがでしたか?

和田校長先生:お別れ会集会当日は雨が降っていて校庭には描くことができず、校舎内の限られたスペースしかありませんでしたが、皆さん心を込めて絵やメッセージを描いてくださいました。その後も学校の施設を地域の方々に開放して、サークル活動等で使っていただいているのですが、その時に、ちょこちょこっと描いていって下さっているようで、知らないうちに絵が増えていたりするのがおもしろいなぁと思います。描くことで皆さんの心の中が表出されているのかなぁ、と。

また、当日お別れ集会にいらっしゃった皆さんが、子供たちの絵を見て感想を言って下さっていたので、子供たちも嬉しかったようです。校舎の外からも絵が見えるので、街の方々への大きなPRになったかなと思っています。

ーー 今回のお別れ集会をやってみてどうだったか、総合的な感想をお聞かせください。

和田校長先生:このような体験は一生に一度できるかどうかなので、貴重な体験ができたと思います。子供たち自身も、普段は触らないところに絵を描いていることで、池三小への愛着がさらに高まったのではないでしょうか。

また、イベント当日は地域の方々や卒業生の方々が多くご来校され、子供たちは池三小の歴史にも触れることができました。 私自身、何より子供たちの素晴らしい発想力や大きな可能性に改めて感動しました。壁画の花びらや掌には1つ1つ意味があって、それを子供たちが教えてくれました。

髙木先生:お別れ集会は、子供たちが校舎への感謝の気持ちをより深める良いきっかけになったと思います。壁画はテーマを決めて進めていたのですが、早く描き終わった子たちには自由に描いていいよと言った時に、「ありがとう」といった感謝の言葉を書く子が多かったのです。子供たちの中で校舎への感謝の気持ちが壁画制作を通して、より深まったのがとても嬉しく思います。

また、子供カメラマンとなった子たちは、「先生いいショットが撮れたよ~」と嬉しそうに見せに来てくれて、自然と表現することを楽しんでいました。お別れ集会を盛大にやることができたのは、キヤノンマーケティング株式会社とぺんてる株式会社のおかげだと思います。

和田校長先生:今回描いた絵を写真で残して、新しい校舎でも飾ることで、描いた子たちが卒業して大人になって、自分の子供が出来て、おじいちゃんおばあちゃんになっても、またきっと絵を見に学校に集まってくれる・・・そういったことを想像すると、今回は学校を繋いでいく一つの大きなイベントになったと思います。

髙木先生:同窓会などで、壁画を描いたという共通の思い出・経験を思い出してくれると嬉しいですね。
和田校長先生:また、その思い出がきちんと写真として残っていることが尚良いと思います。将来へ繋がっていきますよね。

ーー 今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

和田校長先生:一生に一度の機会を提供して下さるということで、学校にとっても、子供たちにとっても、地域の皆さんにとっても本当にありがたいことだと思います。また、この体験は一生に一度ですが、決してその場限りで終わるものではなく、次に引き継がれていく。きっとこの体験をした子供たちは表現することに対しても自信をもって取り組むことができると思います。そして、自分の育った学校に対しての愛着・誇りをもてるということは大人になった時、きっと大きな心の支えになると思います。そういった意味でも、私は非常に素晴らしい取り組みだと思っています。


髙木先生:子供たちの感想に「友達と協力しあうことができた」といった、作品が上手くできたこと以外の学びがたくさんありました。このプロジェクトは子供たちにとって、様々なことを学べる貴重な体験です。


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